〔視線が合わない〕
haruくんは、1、2歳のころ、視線が合いませんでした。
何かしでかして怒ろうとしても、視線が合わないので、反抗しているのかと思い、なんとか目を合わせようとしましたが、上手くいきませんでした。
当時は、haruくんの障害のことが分かっていなかったので、今思えば、分かっていれば別の対応も取ることが出来たかも知れないと悔やむこともあります。
自閉症の子どもと視線が合わないということは比較的よくあることのようで、多くは成長や信頼関係の構築によって視線が合うことが増えるようになっていきます。
haruくんも4、5歳のころには視線が合うようになって来たと記憶しています。
〔当事者の立場から〕
自閉症当事者の東田直樹さんは、その著書の「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」で次のように述べています。
「僕たちが見ているのものは、人の目ではありません」
「僕らが見ているものは、人の声なのです。声は聞こえるものではありませんが、僕らは全ての感覚器官を使って話を聞こうとするのです。相手が何を言っているのか聞き取ろうと真剣に耳を傾けると、何も見えなくなるのです。」
また、東田さんは、同じく著書の「続・自閉症の僕が飛び跳ねる理由」では次のように述べています。
「『人の目を見て話しなさい』と言われますが、目を見ていると、自分がどういう状況にあるのかがわからなくなります。また、聞くことを意識すると、目で見ているものが何かわからなくなるのです。」
それから、自閉症当事者のテンプル・グランディンさんは、その著書の「我、自閉症に生まれて」で次のように述べています。
「子どもの頃、母は私に幾度となく懇願したものだった。
『テンプル、ちゃんと聞いているの?私の顔を見なさい』と。
時折、そうしたかったが、どうしてもできなかった。」
お子さんと視線が合わないことがあっても、それで一番苦しんでいるのはお子さん自身だと思いますので、どうか責めないようにしてください。