〔「児童発達支援管理責任者」とは〕

児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの要となる職種として「児童発達支援管理責任者」というものが存在します。略して「児発管」などと言われたりもします。

この「児童発達支援管理責任者」とは、具体的には何をする人なのでしょうか。

まず、児童福祉法21条の5の19第1項は、事業者は、都道府県の条例で定める基準に従い、通所支援に従事する従業者を有しなければならないと定められており、同条第3項は、都道府県が条例を定めるには、厚生労働省令で定める基準によるとされています。

ここで言う、「厚生労働省令による基準」というのが、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年2月3日)(厚生労働省令第15号)」です。

この5条1項2号で、児童発達支援管理責任者について、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第49条第1項に規定する児童発達支援管理責任者をいう。」と定められております。

そこで、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」を見ると、その第49条1項では、児童発達支援管理責任者について「障害児通所支援又は障害児入所支援の提供の管理を行う者として厚生労働大臣が定めるものをいう。」としか書かれていません。

仕方が無いので、先ほどご紹介した、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年2月3日)(厚生労働省令第15号)」の解釈通知を見てみることにします。

この解釈通知は、「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成24年3月30日障発0330第12号 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)」の平成30年3月30日障発0330第5号改正です。

この通知をみると、「児童発達支援管理責任者(基準第5条第1項第2号)」の解釈として、「児童発達支援管理責任者は、障害児に対する効果的かつ適切な指定通所支援を行う観点から、適切な方法により、通所給付決定保護者及び障害児の解決すべき課題を把握した上で、通所支援計画の作成及び提供した指定通所支援の客観的な評価等を行う者」だとされています。

要するに、

① 適切な方法により、保護者と子どもの解決すべき課題を把握し、

② 通所支援計画を作成し、

③ 支援の客観的な評価を行う

ことが役割、ということですね。


〔「児童発達支援管理責任者」になれる人とは〕

「児童発達支援管理責任者」というのは、そういう名称の資格があるわけではありません。

一定の実務経験を有していて、必要な研修を受講した人が、「児童発達支援管理責任者」の職に就くことができるのです。

それでは、どういう実務経験と研修の受講が必要かですが、これは、平成18年厚生労働省告示第544号と平成24年3月30日厚生労働省告示第230号というもので定められています。

まず、実務経験として、障害者の保険、医療、福祉、教育の分野における直接支援・相談支援等の業務における実務経験(3~10年)が必要だとされています。

医師、看護師、保健師、社会福祉士、精神保健福祉士などの有資格者であれば3年の実務経験で足りますし、障害者相談支援事業所、障害者支援施設等での相談業務への従事であれば5年の実務経験、障害者支援施設、障害児通所施設、特別支援学校等での直接支援業務であれば10年の実務経験が必要です。

そのうえで、研修として、①相談支援従事者初任者研修の講義部分というのと、②児童発達支援管理責任者研修の2種類の研修を受講しなければなりません。

かなりハードルが高い条件を満たさないと就けない職種だと言えますね。

(2020年10月10日)