〔逆「バイバイ」とは〕

自閉症の子どもは、「バイバイ」をする際、手のひらを自分に向けてバイバイをすることがあります。この現象について、ひょっとしたら医学上の正式名称があるのかもしれませんが、haruosraは「逆『バイバイ』」と呼んでいます。

haruくんも小学校に入学してしばらくするまでは、逆「バイバイ」でした。

相手にバイバイをしてもらうときには、相手の手のひらは自分の方を向いているので、それと同じ動作を再現しようとして、手のひらを自分の方に向けてしまうようです。


〔医師の立場から〕

医師の本田秀夫さんは、その著書の「自閉症スペクトラム」で次のように述べています。

「バイバイの動作をするときに、掌を自分の方に向けて振ることがあります。
自閉症スペクトラムの人すべてがそうというわけではありませんが、逆に、一時的にでもこの現象が見られる子どもは、ほぼ間違いなく自閉症スペクトラムと考えて良いでしょう。」

 


〔当事者の立場から〕

自閉症当事者の東田直樹さんはその著書「あるがままに自閉症です」で次のように述べています。

「僕は小さい頃、手のひらを自分に向けて『バイバイ』をしていました。横に揺れる手のひらを見ることが『バイバイ」だと勘違いをしていたのです。」

「僕が見ていたのは、相手の手のひらでした。」

「人と並んで『バイバイ』をしている自分の姿を初めて鏡で見た時、とてもびっくりしました。横にいる人と比べてみると、僕の手のひらだけが逆に映っていたからです。これまで僕は目の前にいる人の手しか見ていなかったのでしょう。そのために、相手の手と自分の手を重ねて見ていたことに気づきました。そこでようやく、手のひらは相手に向けて振るものだと知ったのです。」

(2020年12月12日)