〔自閉症児の寝付きの問題〕

haruくんを見ていると、ゆっくり寝付くのではなく、時間になるとフッと突然寝てしまうことがあるように思われます。

それが、自閉症スペクトラムが原因なのか、まったく別の個性の問題なのかわからなかったので、少し調べてみました。


〔医師の立場から〕

医師の本田秀夫さんは、その著書の「自閉症スペクトラム」で次のように述べています。

「自閉症スペクトラムの人たちの一部に、睡眠の異常が目立つことがあります。

幼児期から睡眠のリズムが極めて不規則で、なかなか寝付けない(入眠困難)、やっと眠っても夜中に目を覚まして、そのまま起きている(中途覚醒)、午後の変な時間に居眠りしています、などの問題がある人を、臨床でときどき経験します。

睡眠の異常そのものは、自閉症スペクトラムと関係はなさそうですが、自閉症スペクトラムの子どもに睡眠の異常があると、夜に寝ないで家の中をうろうろするため、家族も眠れない、などのために、生活全体が乱れることがあります。」


〔当事者の立場から〕

当事者の目線から言うと、自閉症当事者の東田直樹さんは、その著書「あるがままに自閉症です」の中で、次のように述べています。

「みんなを見ていると、寝る前に眠くなるという状態があることがわかります。昼間でも『眠いから、ちょっと休む』といって横になったり『眠くなった』といつもの時間より早く布団に入ったりするからです。僕にはその感覚がよくわからず、『眠い』というのは、布団に入る行動だと思っていました。」

「僕もみんなのように、あくびや昼寝をすることはありますが、自分がいつもの状態とどう違うのか把握できていません。」

「夜も眠る瞬間まで意識は、はっきりしています。眠いから寝るのではなく、いつもの時間になったから布団に入っていると、気がついたときには朝になっている感じです。」

「僕にとって眠ると言うことは、スイッチが切れる状態と似ています。」

医師の本田さんによれば、睡眠と自閉症は直接関係ないそうですが、自閉症当事者の東田さんの文章を読むと、haruくんの寝付きは東田さんにかなり似ているように思えます。

自閉症スペクトラムや発達障害の人の寝付きが全て同じという訳ではないのでしょうが、一定の範囲で、東田さんやharuくんのような傾向が見られるのかも知れないですね。

(2020年12月18日)