「広汎性発達障害」(PDD:Pervasive developmental disorders)とは、かつて採用されていた発達障害の分類名(診断名)です。

具体的には、世界保健機構(WHO)の国際疾病分類(ICD:International Classification of Diseases)の第10版(ICD-10:1990年)及びアメリカ精神医学会の診断ガイドラインである「精神障害の診断と統計マニュアル」(DSM:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の第3版(DSM-Ⅲ:1980年)と第4版(DSM-Ⅳ:1994年)において採用されておりました。

DSM-Ⅳでは、広汎性発達障害(PDD)の中に、更に下位分類として、自閉性障害(自閉症)、アスペルガー障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害の5つの分類が含まれておりました。

もっとも、2020年現在では、ICD、DSMともに、最新版では「自閉スペクトラム症」ないし「自閉症スペクトラム障害」(ASD:Autism Spectrum Disorder)という分類に再編されており(ICD-11:2018年、DSM-5:2013年)、広汎性発達障害(PDD)という分類名は過去のものになっています。

とはいえ、長年使用されていた分類名(診断名)ですので、現在でもその用語を使用する場合もありますし、過去の診断名を聞くと、広汎性発達障害という診断を受けた、という話が出てくることもありますので、覚えておいて損はないでしょう。

(2020年8月21日)