〔「通級による指導」の制度的位置づけ〕

「通級による指導」とは、障害に応じた特別の指導を通常の教育課程に加え、又はその一部に替えて行うものです。

学校教育法81条1項においては、幼・小・中・高等学校において障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うことを定めており、すべての学校において特別支援教育が実施されることとされています。

その上で、通級による指導は、学校教育法施行規則140条及び141条に基づき行われています。

小中学校においては、「通級による指導」は週あたり換算で1 単位時間から8 単位時間程度までとされています(「学校教育法施行規則第百四十条の規定による特別の教育課程について定める件(平成5 年文部省告示第7 号)」によります。)


〔「通級による指導」の対象となる障害〕

「通級による指導」の対象となる障害は、学校教育法施行規則140条の1号から8号に列挙されており、具体的には次のとおりです。

1 言語障害者
2 自閉症者
3 情緒障害者
4 弱視者
5 難聴者
6 学習障害者
7 注意欠陥多動性障害者
8 その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの

第8号の「その他」に該当する障害は、「肢体不自由」、「病弱」及び「身体虚弱」です。

なお、知的障害者については、現在、「通級による指導」の対象となっていないことに注意が必要です。

その理由は、知的障害者に対する学習上又は生活上の困難の改善・克服に必要な指導は、生活に結びつく実際的・具体的な内容を継続して指導することが必要であることから、一定の時間のみ取り出して行うことにはなじまないためとされています。

(以上について、文部科学省ホームページ 「3 通級による指導の制度的位置付け」参照)(外部リンク)


〔「通級による指導」の対象となる障害の程度〕

「通級による指導」の対象となる障害の程度は、文部科学省初等中等教育局長の平成25年10月4日付けの「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」という通知で定められています。

具体的には、次のとおりです。

1 言語障害者
口蓋裂,構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者,吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者,話す,聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者,その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの

2 自閉症者
自閉症又はそれに類するもので,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの

3 情緒障害者
主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの

4 弱視者
拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度の者で,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とするもの

5 難聴者
補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度の者で,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とするもの

6 学習障害者
全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すもので,一部特別な指導を必要とする程度のもの

7 注意欠陥多動性障害者
年齢又は発達に不釣り合いな注意力,又は衝動性・多動性が認められ,社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもので,一部特別な指導を必要とする程度のもの

8 肢体不自由者,病弱者及び身体虚弱者
肢体不自由,病弱又は身体虚弱の程度が,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの

(通知の原典については、文部科学省ホームページ「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」)(外部リンク)

 

障害を持った子どもの就学について

 

(2021年1月25日)