〔こだわり〕

自閉症の子どもの特徴的な行動と言えば、まずは何と言っても「こだわり」でしょう。

例えば、ある場所に行くときの道順や到着してからの行動の順番、あるいは物の並べ方など、いろいろな場面で現れます。

haruくんの場合、近所の大型ショッピングセンターに行くときは、大体ルートが決まっています。最近は大分柔軟に対応してくれるようになりましたが、一番長いときで、1時間くらいかけて特定のルートを辿って、グルッと一周して帰るような時期もありました。


〔医師の立場から〕

医師の平岩幹男さんは、その著書の「自閉症スペクトラム障害」で次のように述べています。

「幼児期を中心として、『こだわり』による生活面での障害があります。幼児期には物体にこだわることが多く、対人関係でのこだわりは、幼児期よりは学童期以降に多くなってくる印象があります。物体へのこだわりは、色、順序、形など、いろいろなものがあります。
たとえばミニカーや積み木など、決まった順序で並べる並べると言うことにこだわり始めると、何度崩しても、「寸分たがわず」という表現がまさに当てはまるように、それが何を目的としているのか周囲にはわからないまま、きちんと並べ替えをしていいきます。」

また、医師の本田秀夫さんは、その著書の「自閉症スペクトラム」で次のように述べています。

 

「自閉症スペクトラムの人に共通する特徴として、『自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強い』というのがあります。この特徴は、生活のあらゆる場面で、さまざまな形をとりながら現れます。典型的な自閉症の人たちは、興味や行動の範囲が狭く限定され、パターン化されやすいことから、特定の物事に愛着を持つ、手順や配置にこだわる、特定の記号やマーク、天気図・地図、電話帳などに偏った興味を持つことが、以前からよく知られています。」

 


〔当事者の立場から〕

当事者の目線から言うと、自閉症当事者の東田直樹さんは、その著書の「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」で次のように述べています。

「こりごりだというくらい、順番や並べ方が気になります。

僕たちは線や面が大好きです。それで遊んでいると、頭の中がすっきりするのです。」

また、東田直樹さんは、「続・自閉症の僕が飛び跳ねる理由」では、次のように述べています。

「こだわりは、とても辛いものです。

『こだわりを好きでやっている』と思っている人がいるなら、大間違いです。

僕のこだわりは、無償で他人のためだけに働かされる召使いになったような感覚なのです。どんなにやりたがっていても、好きでやっていることと、こだわりでやっていることとは全く別の精神状態です。」

haruくんも、親の目から見ていて、このこだわりは本人も止めたいけど止められないんだろうなあ、というときがあります。

 


〔支援者の立場から〕

支援者の方の考え方としては、周囲に迷惑をかけてしまうようなこだわりは止められるようにしていった方が良いけれども、そうでないこだわりは、無理に直そうとするよりも、将来の就労等において、こだわりを活かす方向に持って行こうという考え方が主流のようです。

harusoraも、そのように考えております。

〔2020年11月28日〕