〔チック症〕
チック症とは、チック(突発的で、不規則な、体の一部の速い動きや発声を繰返す状態)が一定期間繰り返す症状です。
単純型のチックは、運動チックと音声チックに分かれます。
運動チックは、目をパチパチさせる、口の端を歪める、首を少し傾けると行った症状です。
音声チックは、声が出てしまう症状です。場合により汚い言葉を吐くような症状もあります。
単純型のチックは自然に軽快することが多いようです。
〔トゥレット障害〕
トゥレット障害とは、同時のいくつかのチックの症状が発現し(多発性チック)、それが慢性化してしまうものです。
成人するまでに軽快することも多いようですが、強迫性障害を合併することもあり、注意が必要です。
→「強迫性障害」とは
〔医学上の分類〕
アメリカ精神医学会の診断ガイドラインである「精神障害の診断と統計マニュアル(第5版)」(DSM-5:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-5)(2013年発表)においては、「TIc disorder チック症群/チック障害群」という診断名で分類され、「Motor disorders 運動症群/運動障害群」の中の一分類とされます。
世界保健機構(WHO)の国際疾病分類(ICD:International Classification of Diseases)のうち、ICDー11(2018年発表)においては、チック症は「primary tics or tic disorders 一次性チックまたはチック症」、「Chronic motor tic disorder 慢性運動チック症」「Chronic phonic tic disorder 慢性音声チック症 」等の診断名で、また、トゥレット障害は「Tourette syndrome トゥレット症候群」との診断名で分類され、いずれも「Primary tics or tic disorders 一次性チックまたはチック症群」の中の一分類とされます(いずれも日本語の病名は日本精神神経学会の訳です。)。
DSM-5、ICDー11いずれにおいても、知的能力障害群(知的発達症)、自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)、ADHDが含まれている「Neurodevelopmental disorders 神経発達障害群(神経発達症群)」の一分類であり、発達障害の一類型として扱われています。
(2020年10月27日)
(2020年10月28日加筆)