「自閉症スペクトラム」(本田秀夫)(SB新書)
「自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体」
著者-本田秀夫 出版-SB新書 発行年-2013年
ページ数-247頁 定価-730円+税
著者の本田秀夫氏は精神科医で、信州大学医学部付属病院子どものこころ診療部部長・診療教授(2013年段階)。
本田氏は、本書の中で、ご自身も自閉症スペクトラムのひとりであるとカミングアウトしています。
本書は、そういったご自身のプライベートな経験も踏まえて、そこから得た知恵や考え方を提示してくれます。特に、大人になったときを見据えて、自閉症児への接し方、見方について重要な示唆を与えてくれています。
例えば、知的障害・自閉症児の多くは、定型発達の子どもよりもオムツを卒業する時期が遅いです。harusoraのような親の立場としては、早くオムツが外れてほしいと願うわけですし、焦りもするわけですが、その焦りについて「大人になってから振り返れば、オムツがいつ取れたかなど、どうでもよい話」「その焦りは、同情には値するけれど、後から考えれば結果は同じになるから無駄な焦り」と大局的な見地から諭してくれます。
また、療育について、思春期の前は特訓をさせるよりも意欲のエネルギーを蓄える時期であるとして、支援では、(1)保護的な環境を提供すること、(2)得意なことを十分に保障すること、(3)苦手なことの特訓を極力させないこと、(4)大人に相談してうまくいったという経験を持たせること、の4点に留意すべきであるとしています。
harusoraもharuくんに接する際に、こういったことに留意しようと思わされました。
(2020年8月10日)