「自閉症の才能開発」(テンプル・グランディン著・カニングハム久子訳)(学習研究社)

「自閉症の才能開発 ~自閉症と天才をつなぐ環」

著者-テンプル・グランディン 訳者-カニングハム久子

出版-学習研究社  発行年-1997年

ページ数-299頁 定価-2500円+税

著者のテンプル・グランディン氏は、自閉症当事者の学者です。

この本は、グランディンさん自身の体験や、さまざまな自閉症当事者の残している言葉をもとに、自閉症者(児)の特徴的行動がいかなる理由に基づくものなのかという解説と、自閉症者(児)同士でも物事の捉え方や適切な対応方法はそれぞれ異なるものだということを教えてくれます。

harusoraが読んでまず印象に残ったのは、「絵で考えるのが私のやり方である。言葉は私にとって第二言語のようなもの」「私は幼児から十代にかけて、人は皆、絵で考えるものだと思っていた。自分の思考法が他人と違っていたことなどつゆ知らぬことであった。」という言葉でした(ちなみに、本書の原題は「thinking in pictures」、直訳すれば「絵で考える」です。)。

haruくんも視覚優位の自閉症なので、ひょっとしたら絵で考えていて、周りの人間もそうだと思っているのかもしれないな、と思いました。

また、「触れられることには我慢できないのに、多くの自閉症児は圧迫刺激に飢えている。彼らは触られるよりも、自ら触るほうを好む。突然触られると、私たちの神経系は、触覚に対応する準備ができないために身体をひいてしまう。ある自閉症女性が、触覚を楽しむことはできるが、そのためには彼女自身が先に相手に触れて、その感覚になれる時間が必要」「自閉症児がマットレスの下にもぐったり、毛布にくるまったり、好んで狭い隙間に入ることを、解説を施す人々が出てくるずっと前に、親たちは気づいていた。」という文章にも納得。そうなんだよね、haruくん。

「自閉症児の多くが気難しくて、食べ物も偏っている。その摂食問題は感覚異常に根ざしている。食べ物の感触、におい、味、または口の中でする音などに我慢できないのである。」「私は半焼きのどろっとした卵の白身が大嫌いだった。」そういえば、haruくんも余り卵食べないですね。

それから、興味深かったのは、彼女の受けた特殊な聴覚検査の内容でした。

それは、自閉症者は、かすかな音を聞き取るような標準テストでは、だいたい、正常な聴覚反応を示すけれども、複合音で構成された言葉の理解で問題を示すというものでした。

具体的には、グランディンさんは、同時に進行している二つの会話の聞き取りテストに対して、成功率がかなり低く、また、片耳ずつテストした場合、一方の耳の成功率が極端に低かったというもので、そのことは、環境音の中で人の話に注意してその内容を理解する技能が極端に障害を受けているということを示すものです。

これは、harusoraが何となくharuくんの聞こえ方について漠然と感じていたものを説明してくれているように感じました。

最後に、グランディンさんが本書の末尾に記載した文章を引用します。

「親たちは研ぎ澄まされた直観を信じるべきである。さまざまな違った方法を試してみて、効果のあるものを続け、そうでないものは捨てるがいい。いくつかの違った方法を組み合わせると、相乗効果が生じることがよくある。」

親にとっては大変示唆にとんだ内容ですね。

(2020年9月5日)

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