「ケースで学ぶ行動分析学による問題解決」(日本行動分析学会=編 山本淳一・武藤崇・鎌倉やよい=責任編集)(金剛出版)

「ケースで学ぶ行動分析学による問題解決」

編者-日本行動分析学会  責任編集者-山本淳一・武藤崇・鎌倉やよい

出版-金剛出版   発行年-2015年

ページ数-226頁 定価-3600円+税

この本は「日本行動分析学会」という学会の編集によるものです。

「行動分析学」とは、1900年代半ばにハーバード大学所属の心理学者であったスキナー教授が創設した比較的新しい学問体系で、心の動きを「個人の中」に求めるのではなく、「個人と環境の相互作用」のあり方と捉え、それをひとつの機能として分析する学問です。

それを発展させたものとして、応用行動分析(ABA)があり、近年、自閉スペクトラム症児童の早期療育方法の一つとして注目されています。

日本行動分析学会は、同学会のウェブサイトによれば、1979年に研究会としてスタートし、2015年には一般社団法人となり、会員数も1000名を超えているようです。

責任編集者の山本淳一氏は慶應義塾大学文学部教授、臨床心理士、武藤崇氏は同志社大学心理学部心理学科教授、鎌倉やよい氏は愛知県立大学看護学部教授、看護師です。

本書は2部構成となっており、第1部は総論として、行動分析学の基礎が説明されています。

すなわち、

①行動分析学の特徴は、「個人」ではなく「行動」のレベルに徹底的に焦点を当て、個人要因が大きい場合であっても、障害の重さなどに帰着させず、つねに個人と環境との相互作用に焦点を当てながら介入を行う、

②問題行動を減らすことを目的とするのではなく、適切な行動を増やすことを目的とする(問題行動を減らすことを目的とすると、短期的に問題行動が減少しても、別の状況で、別の行動として問題行動が出現する可能性がある)、

③問題行動の悪循環を防ぐため、予防的な対応、早期対応を基本とする、

④一般的な介入から問題に特定した介入に向けて階層的なプランを立案する、ということ等の説明があり、

その上で、責任編集者の3教授により、それぞれ「幼児・児童」「青年・成人」「医療」の観点から総論が記載されています。

第2部は各論として、子育て・保護者支援から高齢者支援まで、人生の幅広い場面に応じた22章のケースにおける問題設定と解決が記載されています。

ケース設定により読みやすくするような工夫は凝らしておりますが、基本的には学会が編纂した学問書で、専門用語も多数使用されているので、一般の人が気軽に読むにはやや難解すぎるかもしれません。

白状すると、私も全て読み込んだわけではなく、総論と、各論のうち自らの子どもに関わりそうな「特別支援学校」とか「発達障害:児童」とかの部分しかちゃんとは読んでおりませんが、読んだ部分は難解ながら大変知的好奇心を刺激するものでした。

一度機会があれば、行動分析学の勉強をちゃんとしてみたくなりました。

(2021年9月22日)

 

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